同一労働同一賃金への取組を進めよう!その2:いまの待遇はどうなっているかな?ワークシートでそれぞれの待遇を整理しよう!

こんにちは!
社会保険労務士事務所こどものそら舎です。

『こどものそら通信』今月号のテーマは、
「同一労働同一賃金への取組を進めよう!その2:
 いまの待遇はどうなっているかな?ワークシートでそれぞれの待遇を整理しよう!」
です。

コンテンツでは、
保育施設において正職員と正職員以外の職員区分ごとに現在の待遇がどうなっているか、
待遇に差があるのかなどを整理できるワークシートをご案内します。

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同一労働同一賃金については、
先日正社員と契約社員の待遇差について争われていた事件の最高裁判決が出ました。
ニュースでも報道されたのでご存知の先生もいらっしゃるかと思います。

それぞれの待遇の趣旨や目的、正社員と契約社員の職務の内容、
職務の内容や配置に変更があるかなどを細かく見ていったうえで、
「不合理」または「不合理とは言えない」との判断がなされました。

同一労働同一賃金においては、待遇の趣旨や目的、職員区分ごとの職務の内容、
職務の内容や配置の変更有無などを整理し、
それに基づき「不合理ではないか」を検討することが大切なポイントです。

これを踏まえて、先月号の『こどものそら通信』では、
職員区分ごとの職務の内容、職務の内容や配置の変更有無などを整理しました。

今月号の『こどものそら通信』では、
先月号でご案内した取組段階1.~6.のうち、
取組の肝となる次の3.~5.をご案内していきます。

◆3.保育施設における正職員とそれぞれの職員区分との待遇差の確認
◆4.待遇差がある場合はその理由の把握
◆5.理由が不合理ではないかの検討

*****●会員限定コンテンツのご案内●*****

★~★~★保育施設版 取組ワークシート4を使った取組の進め方★~★~★

今月号では【1・現在の待遇についての確認内容】の項目を検討していきます。

まず、先月号の取組ワークシート2の一番上の欄【職員区分別の名称】の記載内容を
【1 職員区分別の名称】に記入し、
取組ワークシート2の一番下の欄【最終結果】の記載内容を【2 必要な待遇】に記入します。

次に、【3 待遇の種類】に園で支給している待遇のひとつを記入します。
今回は記入例として「住宅手当」を例にまとめています。
取組を進める際にぜひ参考にしてください。

【3 待遇の種類】に待遇のひとつを記入したら、
【4 待遇の性質・目的】、【5 待遇の支給有無】を記入します。

【5 待遇の支給有無】で「あり(支給している)」を選んだ場合は、
【6 支給決定基準】、【7 支給内容】を記入します。

ここまでで現在の待遇がどの職員区分にどのように支給されているのかが整理できました。

次に、【8 支給内容は同じか】で、正職員とそれ以外の職員の支給内容をそれぞれ比べ、
同じ支給内容であれば「同じ」、異なる支給内容であれば「異なる」を選びます。

★ここが「同じ」であれば、「正職員とそれ以外の職員の間で待遇に差がない」
 ということになり、この待遇の確認は終わりです。

★ここが「異なる」であれば、「正職員とそれ以外の職員の間で待遇に差がある」
 ということになり、【9 差の内容】から【12 差の内容は必要な待遇に見合うか】まで
 記入を進めていくことになります。

【11 差がある理由は合理的か】では、
【10 差がある理由】に書いた理由が、雇用形態による理由だったり、
主観的・抽象的な理由だったりしたときには、
法的に「不合理」と判断される可能性があるため、【不合理】を選びます。

また、【12 差の内容は必要な待遇に見合うか】では、
均等待遇が必要なのに正職員と同じ待遇でなかったり、
均衡待遇が必要なのに正職員の待遇とバランスがとれていないときには、
【見合わない】を選びます。
この場合は、同じ待遇にしたりバランスのとれた待遇にしなければなりません。

【12 差の内容は必要な待遇に見合うか】の記入が終わったら、
今月号の取組は終了です。

11で【不合理】に〇がついたら、
または、12で【見合わない/わからない】に〇がついたら、
来月号でご案内する【2・現在の待遇を踏まえた見直し内容】で
どのような見直しをするか、見直し後はどのような待遇にするか考えていきましょう!

※保育施設版取組ワークシート4は、エクセル版もご用意しております。
 エクセル版をご希望の場合はこどものそら舎までご連絡ください。

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今月号では、保育所における待遇の種類や性質・目的の洗い出しからスタートし、
現在の待遇の支給状況を整理しつつ、待遇の見直しが必要かを考えてきました。

同一労働同一賃金への取組では、
保育所において職員区分ごとにどんな業務をしているのか、
基本給、諸手当、福利厚生、教育訓練などをはじめどんな待遇があるのか、
などの洗い出しから始まり、すべての待遇の内容を整理し、見直し、
場合によっては待遇の内容を変えて、実際に運用することが必要になります。

(ちなみに、もし園で福利厚生として職員にエプロンやマスクを支給している場合は、
 エプロンやマスクも待遇のひとつになります。
 そのため、エプロンやマスクの支給状況について、
 職員区分ごとに待遇の差がないか確認が必要になります。)

同一労働同一賃金への取組は、労力も時間もかかる一大プロジェクトです。
園長先生ひとりだけではなく、法人全体で取り組むことも求められます。

労力も時間もかかるうえに、もしかしたら非常勤職員の賃金や待遇を
アップさせなければならないかもしれず、
園にとってはメリットが少ないように思われるかもしれません。

でも、これを「よい機会」と捉えることもできます。
園にはどんな業務があるのか、その業務は誰が担当しているのか、
園にはどんな待遇があるのか、その待遇は誰に支給しているのか、など
今まで目に見えにくかったことを整理し、整頓できる機会だからです。

また、業務を整理整頓することで、
保育所のキャリアパスの整備や保育所・保育士の自己評価につなげることもできます。

園にはどんな業務があるのかがはっきりすると、
その業務に求めるスキルは何なのかを整理しやすくなり、
また、同じ業務でも職位や立場ごとに求めるスキルをより細かく定めることもできます。

職位や立場ごとの業務や求めるスキルがまとまってきたら、
キャリアパスにつなげることができます。

キャリアパスが明確になると園で働く保育士にとってもメリットになります。
自身に求められていることが明確になり、
求められていることに対してどのくらいできているのか、
日々の保育を振り返るものさしにできるからです。

また、キャリアパスが明確になると、
これからどんなスキルを身に着けたらよいのかを保育士自身が自覚できるようになるため、
保育士のキャリアアップや働きがいに繋がっていきます。

同一労働同一賃金への取組は、保育施設においても“義務”であり、
“必ず取り組まなければならないもの”です。
ひとつひとつ少しずつ取り組んでいきましょう。

取組を進めるにあたり、「これはどうしたら?」「これはどういうこと?」など
ご不明な点が出てきたらお気軽にお問い合わせください。
取組ワークシートを活用して一緒に取組を進めていきましょう!

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◆「同一労働同一賃金制度」への取組は保育施設におけるキャリアパスがあると
 より進めやすくなります。
 キャリアパスが整っていない、見直したい場合は、
 厚生労働省による助成金を活用して金銭的な負担感なく整えることもできます。

 ★おススメの助成金:「保育労働者雇用管理制度助成コース」
 保育施設において、職務、職責、職能、資格、勤続年数などに応じた
 階層的な賃金制度を整備・実施すると、
 制度整備助成として50万円が助成されます。
 賃金制度の整備・実施した場合の助成金に加えて、
 職員の離職率についての目標を達成すると最大180万円が助成されます。

 ◎同一労働同一賃金制度は、
  自己評価・キャリアパスと一体で取り組むことが有効です。
  自己評価・キャリアパス構築のガイドとして、
  こちらの助成金を活用することをおススメしています。

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◇「こういったことが知りたいな!」「話題のあれってどういうこと?」など
 取り上げてほしいテーマや情報がありましたらぜひお知らせください。

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