成長分野等における中核的専門人材養成等の戦略的推進事業

文部科学省の生涯学習政策局生涯学習推進課より平成28年度の事業成果報告が公開されました。

http://www.mext.go.jp/a_menu/shougai/senshuu/1394439.htm

保育分野では以下の4事業となっています。

・「保育分野における中核的専門人材養成プログラム開発」
・「潜在保育士の職場復帰・キャリア形成を支援する女性学び直しプログラムの開発・実施」
・「保育分野における長期就労支援に向けたリーダー育成プログラム開発事業」
・「保育分野のイノベーションに向けた「リテイン&キャリアアップ プログラム」の開発・実証・普及事業」

いずれもどの園でも重点課題の一つとなっているものではないでしょうか。
全国様々な事例の一つとして園や団体等での取り組みでも参考にしてみましょう。
今後のさらなる発展的な展開に乞うご期待です。

 

■「保育分野における中核的専門人材養成プログラム開発」
/一般社団法人愛知県現任保育士研修運営協議会

「研修モデルカリキュラム」

「保育職のリーダーに求められるもの」を保育士の自由記述でのアンケートを分析し、新任から園長まで各職階に求められる資質を保育士の目線でステージ別・課題別・職階別に整理しています。
研修カリキュラムとして体系化した養成施設、保育所、行政の協働による県単位の取り組みです。

保育士の悩みや課題が直接反映されているため、高い実効性を期待したいです。
厚生労働省の保育士等のキャリアアップ研修ガイドラインもふまえながら、園内などでの独自の職員研修の企画運営にも役立つと思います。

・初任研修カリキュラム
・5年目研修カリキュラム
・育児休業明け研修カリキュラム
・障害児保育専門研修カリキュラム
・乳児保育専門研修カリキュラム

「私の研修記録(研修ポートフォリオ)」

研修で得た学びを自発的に振り返り、活用するための学習記録簿です。
研修資料などをファイルに入れて保管しておくこともできます。
1枚ずつ積み重ねていくと自分だけの「学習カルテ」ができあがっていきます。
シンプルな記載欄で作られているので、園内の研修復命書などと比べてみてもいいでしょう。

 

■「潜在保育士の職場復帰・キャリア形成を支援する女性学び直しプログラムの開発・実施」
/学校法人清永学園金沢福祉専門学校

「保育分野・職場復帰支援教育体系 (36時間)」

潜在保育士には保育現場への復職を望む方も多いです。
同時に離職からのブランクからの不安が復職のハードルとなっていることも多いです。

保育現場で求められる知識やスキルは、普遍的に通底するものもあれば、年々変化するものもあるからです。
例えば近年増えている食物アレルギーへの対応や感染症対策といったリスクマネジメントもその一つでしょう。

子育て環境や就労環境等の変化による保護者支援もますます多様になっていくと予想されます。
現場保育士に求められる資質は、年々複雑化・高度化し、責任の重さも増大しているといえます。

現在の保育現場とのギャップの解消を図ると共に、
保育士としての専門性や実務能力を高めて専門人材となるための、単発ではない総合的なプログラムを構築しています。

・現場見学
・乳児保育
・障がい児保育
・子育て支援
・社会的養護
・食育
・保健・衛生

「就業時間が希望と合わない」というライフスタイルによる理由や、
「雇用形態が希望と合わない」という潜在的な理由などの労務面にも同時に目を向けて、保育士が働いてみたいと思う職場や職種であってほしいものです。

「eラーニング」の導入や受講生同士の「SNS」の活用で、
無理なく楽しみながら不安を軽減して能力を高めていこうという取り組みもしています。

■「保育分野における長期就労支援に向けたリーダー育成プログラム開発事業」/学校法人三幸学園東京こども専門学校

保育士の長期就労につなげる観点から、保育園長及び主任保育士の研修を組み立てています。
職員会議運営方法や職員との接し方や感情のコントロールなども学ぶことができます。
保育現場の園長のみならず中堅層も、一度は触れておきたい内容といえます。
保育現場の管理者を対象としたeラーニングを開発されています。

・離職理由に対応する内容
「人間関係」
「理念・方針への不満」
「園長の考える保育方針との齟齬」に対応する内容

・入職後に保育現場で伸ばしていくことを求められている指導の仕方
「指導案作成」
「個別性への対応」
「保護者の苦情対応」
「危機管理」

・運営論から抽出した内容
「リーダー的職員への助言・指導」
「スーパービジョン」
「研修計画の策定と評価」
「リスクマネージャー」
「目標・方針の設定と評価」
「職場の課題解決手法の理解」

なお、以下のような内容もふまえられています。

・倫理綱領の指導
・職員の服務管理
保育観、方針を示す
・組織として実践の評価
・保育課程の編成
・保育計画の策定・評価
・地域の子育て支援
・社会的養護等関連領域との協働
・保育の歴史理解
・他分野の動向理解
・安全管理 、危機管理
・大規模自然災害時の対応
・保育士養成校との連携・調整
・リーダ的職員への助言・指導
・職場のコミュニケーション・人事管理
・スーパビジョン
・人材育成 人材育成
・研修計画の策定と評価
・リスクマネージャー
目標・方針の設定と評価 目標
・自己評価 、第三者評価
・職場の課題解決手法

■「保育分野のイノベーションに向けた「リテイン&キャリアアップ プログラム」の開発・実証・普及事業」/学校法人篠原学園篠原保育医療情報専門学校

保育者を離職させずに(リテイン)、中核的専門人材として養成する(キャリアアップ)ため、「保育ファシリテーター」養成講座の開発・実証・評価を産学官で連携して進めています。保育人材のキャリアパスを拓き、保育業界の質的向上にイノベーションをもたらす取り組みとして期待されています。

保育現場で活躍する園長、副園長、リーダー・主幹教諭等の保育者に向けて、
園運営のさらなる向上や保育者の離職を予防の在り方等、
必要な資質や能力をわかりやすく可視化して標準化、形式知化することは、重要なテーマだと思います。

・保育のグランドデザイン
・カウンセリングマインドとコーチング
・リーダーシップとマネジメント
・ファシリテーションスキル
・ファシリテーションの実践
・ファシリテーションの実践報告

またフォローアップ講座も用意されています。

・園内研修で使えるファシリテーションスキル
・グループインタビュー①「現場での実践のふりかえり」
・グループインタビュー①「保育ファシリテーターとして活躍するためにさらに必要な学習内容」
・個別インタビュー

なお、初級には潜在保育士を対象にしたコースもあります。

・保育倫理と保育観
・保育者のキャリアパスと求められる役割
・カウンセリングマインドを活かした保護者支援
・保育間のチームビルディング
・ファシリテーションマインド
・ファシリテーションスキル
・ファシリテーション実践

さらに発展的な中級の内容です。

・保育のグランドデザイン
・カウンセリングとコーチング理論
・リーダーシップとマネジメント論
・ファシリテーション論
・ファシリテーションの技法

 

☆園ごとの具体的な雇用管理やマネジメント等の働きやすい職場環境づくりのための対策などはご遠慮なくご相談ください☆
(社会保険労務士事務所こどものそら舎:http://kodomonosora.jp/