園長先生からの質問 Q11

“保育に役立つ”園長のための保育園の人事労務講座
~よい労務管理はよい保育を生む土づくり~

今年から雇用保険の適用範囲が65歳以上の職員にも拡大して適用されるんですね。でもうちの園は勤務時間が短いパート職員も多いんですよ。あんまりメリットもなさそうですし、短時間の職員は雇用保険には入らなくてもいいですよね。

1、短時間の職員は加入する義務はない
2、短時間の職員も必ず加入する
3、雇用契約書などで週20時間以上なら加入する
4、週30時間以上(通常の労働者の3/4以上)になったら加入する
5、本人の希望による

答え(1つ)

答えの詳細

用保険制度とは、職員の雇用機会の向上や必要な能力開発を図り、職員の安定した生活と雇用を守るために設けられた制度です。

月に31日以上の雇用見込みがあり、週に20時間以上働いている職員は、雇用保険の加入義務があります。そのため、短時間の職員でも所定労働時間と日数によって、他の職員と同じ保障を受けることが可能です。

雇用保険のメリットは、まずよく知られているものですと育児、介護、高齢、離職など様々な事業で雇用が不安定になった際のいわば守備的な一定金額の所得保障です。生活はもちろん精神的にも大きな支えになってくれるという事は間違いありません。いわゆる失業手当もその一つです。

次にあまりよく知られていませんが、積極的に雇用保険制度の目的を達成するための重要な役割として、「雇用保険二事業」による広義の福利厚生があります。こちらは主に働く職員に対する政策目的に沿った事業主の取り組みを公的な制度によって支援するものです。その一つは雇用安定事業です。失業の予防、雇用状態の是正、雇用機会の増大その他雇用の安定を図るための事業です。もう一つは能力開発事業は、被保険者らの能力の開発および向上を促進するための事業です。職業訓練への助成金などの様々な助成金制度は、この雇用保険二事業の事業目的を達成するために毎年、環境変化等に合わせて政策を打ち出したり調整したりしながら行われています。

雇用保険料は職員負担は賃金総額の4/1000と少額になります。事業主負担は7/1000ですが、負担割合が職員より多くなっている理由は、「雇用保険二事業」の保険料率の3/1000は事業主負担となり加算されているためです。

雇用保険制度は、もちろん保険料や事務コストは発生しますが、それ以上に組織の基盤を整え、職員が安心して働ける環境を作るために重要な保険制度といえます。

■雇用保険法
第一章 総則(目的)
第一条  雇用保険は、労働者が失業した場合及び労働者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合に必要な給付を行うほか、労働者が自ら職業に関する教育訓練を受けた場合に必要な給付を行うことにより、労働者の生活及び雇用の安定を図るとともに、求職活動を容易にする等その就職を促進し、あわせて、労働者の職業の安定に資するため、失業の予防、雇用状態の是正及び雇用機会の増大、労働者の能力の開発及び向上その他労働者の福祉の増進を図ることを目的とする。

 


保育士がいきいき働く、保育園が元気に動く仕組みづくりを支援している社会保険労務士・中小企業診断士の関山です。
専門はこれまでの保育業界での経験を活かした保育園の労務支援・運営支援と想い入れたっぷりの分野です。
珍しい経験から鎌倉・逗子・葉山地域の保育園さまを始め、全国の保育園さまからお問合せいただくことも増えてきました。

そこでここでは園長先生からの労務面やキャリアパスなどに関するご質問やご希望に応えて、
保育園や保育士に役立つ「保育園育て」「保育士育て」の各種ノウハウをお送りしていきます。
ぜひ日頃の保育園の運営や保育士の労務管理、人材育成、キャリアパスなどの参考にされてください。

 

☆園ごとの具体的な雇用管理やマネジメント等の働きやすい職場環境づくりのための対策などはご遠慮なくご相談ください☆
(社会保険労務士事務所こどものそら舎:http://kodomonosora.jp/