保育士はがんばっている!!保育士の離職率や離職事情の仮説例

「定着率NO.1の働きやすく働きたいと思われる保育園に向けて。」

子どものころからのあこがれの職業、保育士。
国家資格を取る必要があり、保育士になるためには相当の努力も必要なんです。

子どもの命を預かり子どもの育ちを支援する専門職で、
昨今では求められる職域も多様になり、特に大きく期待されている職種です。
社会的にも責任の大きな仕事といえ、その分とてもやりがいもある仕事です。

ただ、がんばって保育士になっても多くの人がやめてしまう傾向があるいわれます。
保育士不足もあってよりクローズアップされやすいのでしょう。

では保育士の離職率は実際にどれくらいなのでしょうか。
本当に保育士はすぐにやめていってしまうのでしょうか。

あくまで参考ですが、厚生労働省の「社会福祉施設等調査」によると、
勤務者は約32万人に対して退職者は約3.3万人で、離職率は約10%です。

http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/23-22.html

勤続年数別に見ると以下の通りです。
•2年未満・・・・・14.9%
•2~4年未満・・・・13.6%
•4~6年未満・・・・11.6%
•6~8年未満・・・・9.1%
•8~10年未満・・・7.3%
•10~12年未満・・・6.3%
•14年以上・・・・・5.8%

こちらもあくまで参考ですが、厚生労働省の「雇用動向調査結果」によると、
全職種の1年間の離職者数は726万人。労働者数は4846万人で、離職率は約15.0%です。
100人いれば15人が辞めているということになります。

http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/17-2/index.html

全職種あわせた離職率は、例えば以下の通りです。
・大卒で3年以内離職率が約30%。
・短大卒で3年以内離職率が約40%。

業界別離職率は以下の通りです。
1.宿泊業、飲食サービス業・・・・・30.0%
2.生活関連サービス業、娯楽業・・・20.3%
3.教育、学習支援業・・・・・・・・15.0%
4.医療、福祉・・・・・・・・・・・14.8%
5.卸売業、小売業・・・・・・・・・14.0%
6.学術研究、専門・技術サービス業・13.4%
7.運輸業・・・・・・・・・・・・・12.3%
8.不動産業、物品賃貸業・・・・・・11.5%
9.製造業・・・・・・・・・・・・・11.4%
10.情報通信業・・・・・・・・・・10.2%

離職率が高いと言われ続けている保育士ですが、
全職種の中で実はどうなんだろう!?となるでしょう。

 

次に保育士はどういった理由で仕事を辞めることが多いのでしょうか。
様々な指標や統計があるので、ここでもあくまで参考例としてですが、
「東京都保育士実態調査」の結果によると以下の通りです。

1.妊娠、出産・・・・・25.7%
2.給料が安い・・・・・25.5%
3.職場の人間関係・・・20.6%
4.結婚・・・・・・・・20.4%
5.仕事量が多い・・・・20.3%
6.労働時間が長い・・・17.5%
7.健康上の理由・・・・15.7%
8.他業種への興味・・・14.3%
9.子育て、家事・・・・12.1%
10.転居・・・・・・・10.8%

特に注目したい離職理由はざっくりですが、以下の3点です。

1.結婚、妊娠、出産、子育て、家事
2.職場の人間関係、他業種への興味
3.仕事量が多い、労働時間が長い、健康上の理由

給料といういわゆる処遇面は、動機付け要因というより衛生要因であり、
その他の面が満たされていないことによる裏返しとも考えられるからです。

・動機づけ要因・・・満足感を高め、モチベーションを向上させることができる要因。
・衛生要因・・・不満は解消されるが、満足感やモチベーションにつながるとは限らない要因。

そしてどうでしょう。理由をしぼって考えてみたら、
園内でどうにもこうにもならないというわけではなく、
むしろ工夫とアイデア次第で解決できるかもしれないと感じませんでしょうか。

保育士のがんばりに工夫と知恵で応え、現状維持ではなく環境の変化に変化で応え、
さらに働き続けやすい職場、さらに誇りや愛着の感じられる職場にすることができるはずです。

定着率NO.1の職員にとっても魅力的な保育園に向けて、いっしょにがんばっていきましょう!

 

①結婚、妊娠、出産、子育て、家事

職員における女性の割合が高くまだまだ根深い理由といえます。
保育士の話をキャリアコンサルタントとしてよくよく聞いていくと、
結婚、妊娠、出産を心の中で節目にしてそこまではがんばろうとしていたり、
結婚、妊娠、出産を希望して園児の育ちの節目までがんばろうとする傾向があります。

保育士の業務は体力が必要と思われていることもまだまだあります。
自分の子どもは自分で育児をしたいと思う気持ちもあります。
妊娠したら無理に働かずに退職を選択し扶養に入りたいと思う気持ちもあります。

また産休、育休が取りやすい環境があまり整っていないという面もあるでしょう。
一度退職しても他の職種に比べると保育士の仕事は見つけやすいとされており、
いわゆる売り手市場になっており、退職のハードルは低いと思われやすいです。

休みや労働時間が不規則であったり、実際の勤務時間も長かったりと、
そのままだと職員にとっては家事との両立は難しく感じられてしまうと思います。
正職員ではなく短時間や固定時間でのパート職員を希望するという方も多くなります。

 

②職場の人間関係、他業種への興味

対人援助職ですから人と人とのコミュニケーションやチームワークは特に重要にもなります。
女性に偏りがちな職場だからこその人間関係に悩んでいる人は多いともよくいわれます。

忙しくなり余裕がなくなってくると、気遣いや配慮も自ずと行き届かなくなりやすく、気を遣ってかえって同僚や先輩などとの関係がうまくいかなくなってしまうこともあるでしょう。

そして園長の考え、園内の保育理念、保育方針、保育観などが、
「よくわからない!?他の園では違うのでは!?もっとよくなるのでは!?」と感じはじめ、他の園や他の職種ではどうなんだろう、と興味がわいてしまうのは自然な感情の芽生えともいえます。

 

③仕事量が多い、労働時間が長い、健康上の理由

保育士の仕事はもちろんですが園児の面倒を見るだけではありません。
保育士は子どもの育ちを支援する総合的なプロフェッショナルでありスペシャリストだと思います。
月案、週案、日案など指導計画案、連絡帳、お便り等の作成の様々な書類業務もあります。
保護者支援も大きな役割となっています。行事がある時期等は製作物を作ることも増えるでしょう。

当然、勤務時間は長くなって残業も多くなりやすくなり、
家に持ち帰って仕事をする方も出てきてしまっていると思います。

そのため、残業や人間関係でのストレスで心身の健康を損ねてしまい、
働き続けることができなくなってしまったという人もでやすくなるといえます。

 

☆園ごとの具体的な雇用管理やマネジメント等の働きやすい職場環境づくりのための対策などはご遠慮なくご相談ください☆
(社会保険労務士事務所こどものそら舎:http://kodomonosora.jp/