園長先生からの質問 Q9

“保育に役立つ”園長のための保育園の人事労務講座
~よい労務管理はよい保育を生む土づくり~

保育園の職員が全体的に疲れ気味のような気がします。しっかり休んでもらって元気に出勤できるように休日をしっかりとってもらえるようシフトを組んでいきたいと思います。所定休日と法定休日って聞いたことありますが、何か違うんですか。

1、法定休日=所定休日
2、法定休日=所定休日+日曜日
3、法定休日=日曜日+祝祭日
4、法定休日=週休2日
5、法定休日=毎週1回の休日

答え(1つ)

答えの詳細

休日には「法定休日」と「所定休日」の2種類があります。
「法定休日」とは、労働基準法第35条で定められている毎週1日の休日であり、
「所定休日」とは、法定休日以外に法人で定めている休日です。
この法定休日と所定休日の違いは残業代を計算するうえでも大事なポイントになってきます。

法定休日は、毎週1日としない場合は、例外的に4週で4日としてもかまいません。また土曜日と日曜日の週休2日といったようにしていた場合、土曜日と日曜日のどちらを法定休日と考えればよいのかが問題になります。法定休日に出勤した場合は休日労働の割増賃金(135%)が支払われるのに対して、所定休日に出勤した場合は、時間外労働の割増賃金(125%)となるためです。休日労働の割増賃金のトラブルを防止するためにも、法定休日はいつのことを指すのか就業規則で定めておきましょう。監査においても、このような点が不明確になっている場合、休日労働の割増賃金の未払が指摘される場合が多いですので、労務リスク管理の点からも注意したい点です。

法定休日の定め方にはいくつかのパターンがありますが、土曜日に勤務することが多い保育園では、法定休日を毎週日曜日に固定する方法をおすすめします。この場合は、日曜日に出勤した場合は、休日労働の割増賃金(135%)、土曜日または祝日に出勤した場合は時間外労働の割増賃金(125%)となります。

なお、法律上は法定休日の付与は義務ですが特定することは義務づけられていませんので、就業規則には特に記載していない場合もあります。定めがない場合は、厚生労働省による平成21年10月5日改正労働基準法に係る質疑応答においても,「法定休日が特定されていない場合で,暦週(日~土)の日曜日及び土曜日の両方に労働した場合は,当該暦週において後順に位置する土曜日における労働が法定の休日労働となる。」と解釈される可能性が出てきます。

とはいっても、できるだけ法定休日労働(35%割増)を減らしたいとお考えの場合は、法定休日は、毎週○曜日を起算日とする1週間における最後の1日の休日とする、などと定めることもできます。ただしこの場合は、勤務表を見ながら法定休日のチェックをしていくことが必要です。

所定休日は保育園によっては「指定休日」と呼ばれることも多いです。例えば、1日8時間労働の場合は週1回の法定休日だけだと必ず労働時間がオーバーしてしまうため所定休日の取得が必要になり休日を指定することになります。所定休日が不要な例としては、例えば月曜日~金曜日は午前9時~午後5時までの勤務(休憩1時間)、土曜日は午前9時~午後3時までの勤務(休憩1時間)といった週の法定労働時間が40時間以内になるケースです。

ポイントは、休日労働とすべき部分と時間外労働とすべき部分を間違いなく処理するためのルールが必要であるという点です。振替休日の運用も絡んでくる部分ですので、園の勤務実態に合わせて、曖昧にならないように管理していきましょう。

 


保育士がいきいき働く、保育園が元気に動く仕組みづくりを支援している社会保険労務士・中小企業診断士の関山です。
専門はこれまでの保育業界での経験を活かした保育園の労務支援・運営支援と想い入れたっぷりの分野です。
珍しい経験から鎌倉・逗子・葉山地域の保育園さまを始め、全国の保育園さまからお問合せいただくことも増えてきました。

そこでここでは園長先生からの労務面やキャリアパスなどに関するご質問やご希望に応えて、
保育園や保育士に役立つ「保育園育て」「保育士育て」の各種ノウハウをお送りしていきます。
ぜひ日頃の保育園の運営や保育士の労務管理、人材育成、キャリアパスなどの参考にされてください。

 

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